自己愛性人格障害 診断
自分は一生懸命しているのに何故か周りの人と上手くいかない、たしかにお調子者ではあるけれど努力しているのにどうして評価されないのだろう「人格障害かな?!」と悩んだ経験はありませんか?!もしかしてそれは自己愛性パーソナリティ(人格)障害かもしれません。今回はこの聞き慣れない障害について詳しくご説明します。自分がそうでないかや「この人付き合いにくい・・・」パートナーや友だちについて診断してみてください。
自己愛って誰にでもあるよね?!
自己愛性という名称を聞くと「誰にでもあることなんじゃないの?!」と思いますよね。そう、例えば話題の中心にいたい、周りにとって特別な存在でありたい、私たちが当たり前に思うことです。それは幼少期から始まること、自分の存在に気付き(身体に興味を持ち始める)自分が好きになりはじめ、次は自分の目に見えない部分も好きになる、さらに他人も愛せるようになるという感じで成長と共に成熟していきます。子どものころは自分が大好きでみんなに注目してほしいがためにできないことでも「やれる」と言っていましたよね、しかし大人になると身の程をわきまえるようになる、これは誰にでもあることで健全な成長と言えます。しかし、成長できずいつまでたっても子どものままの人もいます。残念なことに自分では気づけないものなのです。
自己相性パーソナリティ(人格)障害の特徴
客観的な目線に立ってあなた自身を診断してみましょう。日本では自己愛性人格障害と呼ばれてきましたが、当事者への配慮から名称の「人格」の部分を「パーソナリティ」と変更しています。
- 自分を誇大評価している
- 特別扱いされたい
- プライドが高く人目を気にする
- 自分よりも凄い人を認めることができない
- 思いやる気持ちがない
- 共感の気持ちがない
誇大評価している
自分はこうありたいという理想が高く現実ではそこまでではないのにできていると思っています。だから「選ばれし者」や「特別な存在」など実際の能力以上の言動が目立ちます。例えば、握手会に参加しただけ、ただ出身校が同じだけで「〇〇と友だちなんだ」有名人と自分を勝手に友人にしてしまうこともあります。
特別扱いされたい
もちろんデキる人間という感覚なので周りの人に「凄いね」と特別扱いを受けることを当たり前に考えています。
プライドが高く人目を気にする
誰かにできていないことを指摘されたら、侮辱されみんなの前で恥をかいたと思うため感情が爆発してキレてしまいます。
自分よりも凄い人を認めない
自分よりも優れている人がいると嫉妬し機嫌が悪くなります。場合によっては標的として陥れることもします。逆に相手が自分に嫉妬していると勘違いをしていることもあります。
思いやる気持ちがない
世の中は自分中心と考えているので誰かの話題に割り込み取り上げ自分の話題に変えてしまうなど、他人の気持ちを考えずに行動に移してしまいます。また、言動が攻撃的なのも特徴です。
共感する気持ちがない
わかりやすい事例を挙げます。
Aさんがインフルエンザになりました。本来なら「いろいろ大変だったでしょ、私もなったことがあるからわかるよ」など相手の気持ちに寄り添う言葉をかけますが、自己愛性パーソナリティ障害を患っている人は「わざわざ人混みに行ったんじゃないの?!私はそんなことしないからインフルエンザになっていないよ」など悪気はないけれど自分がいかにハイレベルな人間かを示すために心無い言動をしてしまいます。
ライバルのBさんより優れていることを示すために「一緒にがんばろう」と協力する態度をとりながらも利用する、自分よりも弱い立場の人を従え指図し(後輩など)わざとBさんが不利になるよう仕向けます。
つまり、相手の気持ちになった物事が考えられないのです。
診断基準
上記のような行動が誰にでも少なからずありますよね。1つや2つあっても人格障害ではありませんが、次は自己愛性パーソナリティ(人格)障害の診断基準から自分が患っていないかチェックしてみましょう。5個以上当てはまったらあなたは自己愛性人格障害の可能性があります。
- 自分は尊大、特別な存在という感覚
- 理想的な自分にとらわれ現実がわからない
- ハイレベルな人々と釣り合うのは自分と思っている
- したことに大きな見返りを求める
- 他人を利用することを悪いと思っていない
- 他人の気持ちに気付けない
- 嫉妬しやすい
- 傲慢な態度が目立つ
5個以上当てはまったり日常生活に障害が出ていたりしたらあなたは自己愛性パーソナリティ(人格)障害の可能性があります。友人や職場の中でトラブルが絶えない場合「人格障害なんじゃない?!」と思っていた人が当てはまったら合点がいきますよね。ただ、医療機関を受診して上記の5つ以上当てはまっていても社会生活に支障をきたしていない場合は診断されないこともあります。
上記診断で1つも当てはまらなかったけれど・・・と思っている方のなかにはこれからご紹介するタイプの方がおられるかもしれません。これまで紹介してきた自己愛性パーソナリティ(人格)障害は無自覚タイプと呼ばれていますが、自己愛性パーソナリティ(人格)障害には「過敏型」というタイプもあります。特徴を挙げます。
- 内気
- 意見や気持ちを表に出せない
- 注目されないようにしている
- 周りの評価を過剰に気にする
- 周りの言動に落ち込みやすい
先ほどまでご紹介したタイプとは真逆ですよね。根本は同じ、自分はできる人間と思っているのですが、できない現実を目の当たりにして落ち込み悩んでいるのです。理想が高すぎて現実の自分を受け入れることができていません。失敗したくないから目立たないよう息をひそめ過ごしているのです。
自己愛性パーソナリティ障害が悪化すると・・・
自己愛性パーソナリティ障害が悪化した場合、周りの人に指摘されたり口論になったりすることをきっかけでうつ病を患ったり自殺願望を持ったり衝動的に自傷行為をするようになったりする可能性があります。
自己愛性人格障害の原因
自己愛は誰にでもあるのにどうして病的な自己愛に陥ってしまうのか、原因は明らかになっていませんが成長の段階で経験したことが関与しているのではないかと研究が進められています。
親との関わりが大きい
- 親の虐待(ネグレクトも含む)
- 親との関係
- 貧困家庭
- 病気やけが
こういった人格障害において幼少期の親との関わりが深いということはお気づきかと思います。幼児期のうちに上記のような不幸な経験をしたことで生存本能を司る脳幹や大脳辺縁系が本来の成長とは異なった成長をすると考えられています。虐待だけでなく共働きで十分な愛情を注げない場合も同じです。こういった自分の不幸を周りに悟られないよう幸せな作り話をし嘘を積み重ね本当の自分がどんどんわからなくなり、自分にとって楽で甘い誘惑に負けていく、そして虚栄心の塊のような人間になってしまうのです。
医療機関での診断
自己愛性パーソナリティ障害は加齢に伴い悪化すると言われています。もしもご自身がそうでないかと思われたら、今後の生活をより良くするためにも医療機関を受診してみてはいかがでしょう。
診断方法
前述したとおり原因が特定されていないので検査方法や診断項目が確立されているわけではありません。各医療機関による問診や家族や周りの人の話を聞き診断され治療法を考え提案されます。
治療方法
治療法について、なぜそのようになったのかということを知るために原因の追究を大切にしている医療機関が多いです。
- 感情のコントロール
- 他人と共有する気持ちを高める
- 薬物療法
治療は苦痛を緩和しながら自己調整能力を高めていくことが基本となります。カウンセリングから心をほぐす方法を探ったり感情をコントロールする訓練をしたり他人と共有する気持ちを高めたりする(集団生活)など各医療機関で工夫されていますが、まだ十分と言われていません。自己愛性パーソナリティ障害はうつ病やパニック障害と合併していることが多く見られるので、場合によっては抑うつ剤などの薬を処方される場合もあります。服用することで緩和はできますが投薬治療も根本的な解決策ではない、つまりまだまだ研究が必要な分野なのです。
自己愛性パーソナリティ障害を持った人への接し方
自分は違ったと胸をなでおろすのはいいですが、これからこういった人格障害を患った人と出会うかもしれません。接し方を知っておけばお互い傷つかずにより良い関係を築けますよね。最後に接し方についてご紹介します。家族に促され医療機関を受診し診断されている人もいれば自己愛性パーソナリティ障害を患っていることすら気づかず生きている人もいますね。
職場や友人には・・・
- 無理に合わせない
- 議論は時間の無駄
- 嫉妬されないようにする
無理に合わせたり世話をしたりしても相手はそれを当たり前とし欲求はどんどんエスカレートしていきます。出来ないことは明確に断り相手に振り回されないよう心がけましょう。また、間違っていることを指摘しても相手には通じないので面と向かって対決するとあなたが痛い目に遭います。納得がいかないことは多々あるでしょうが、直接関わらず人事課や大勢の評価にお任せしましょう。さらに相手に嫉妬心を抱かせないことも大切、その人の前ではいい物を持ったり仕事ができることをアピールしたりしないよう心がけることが大切です。嫉妬心を抱かせると陥れられたり周りを従えて攻撃を仕掛けてきたりする可能性があるからです。
恋人として出会ってしまったら
恋人として出会ってしまっても同じ、無理に合わせる必要はありません。浮気などの都合が良くないことは平気でうそをつくでしょうし恋人が何かをしてくれるのは当たり前と考えているからです。気に入らないことがあると暴力に訴えることもあります。そんなときは無理をせずお別れしたほうがよいです。